ロシア漁業情報

2014/9/19
号外 ロ日IUU漁業防止協定発効は2014年12月10日

2014年09月18日
モスクワ発(一般社団法人北洋開発協会)
[ロ日IUU漁業防止協定発効は2014年12月10日]
ロシア漁業庁は、ロ日IUU漁業(密漁密輸)防止政府間協定(*北西太平洋における生物資源の保存、合理的利用及び管理並びに不正な取引の防止のためのロシア連邦政府と日本国政府との間の協定)の発効日を2014年12月10日とすることで関係省庁が行動していると発表した。
このため、同年11月10日には、必要な手続きの実施に関する外交書簡が交換されることとなる。
なお、当該協定は、2012年9月に署名された。

*北西太平洋における生物資源の保存、合理的利用及び管理並びに不正な取引の防止のための日本国政府とロシア連邦政府との間の協定

日本国政府及びロシア連邦政府(以下「両政府」という。)は、北西太平洋における生物資源の保存、合理的利用及び管理についての共通の関心を考慮し、北西太平洋において一部の生物資源がロシア連邦の法令に違反して漁獲されていること及び当該→部の生物資源がロシア連邦の法令による必要な手続を経ることなくロシア連邦から持ち出されていることが北西太平洋における当該一部の生物資源の保存、合理的利用及び管理を著しく脅かしていることを認識し、北西太平洋において一部の生物資源がそれぞれの国の法令に違反して漁獲され、それぞれの国から持ち出されないようにするため、両政府がそれぞれの国の法令の範囲内で行政上の措置をとる必要性を認識し、日本国とロシア連邦との問の生物資源の貿易を安定的かつ長期的な基礎の上に一層発展させ、及び拡大させることを希望して、次のとおり協定した。

第一条

1 この協定の適用上、
(a)「権限のある当局」とは、次のものをいう。
日本国については、水産庁、経済産業省及び財務省
ロシア連邦については、連邦漁業庁、連邦保安庁、連邦税関庁及びロシア連邦内務省
(b)「対象生物資源」とは、別表一に掲げる生物資源及びその加工品をいう。
(c)「輸出者」とは、ロシア連邦の法令に従い、ロシア連邦から日本国に対象生物資源を輸出する者(権限を与えられたその代理人を含む。)をいう。
(d)「輸入者」とは、日本国の法令に従い、ロシア連邦から日本国に対象生物資源を輸入する者(権限を与えられたその代理入を含む。)をいう。
(e)「証明書」とは、対象生物資源のロシア連邦からの輸出の合法性を証明する公式の文書で、その発給の権限を与えられたロシア連邦の権限のある当局が発給するものをいう。

2 この協定の別表は、この協定の不可分の1部を成す。

第二条

両政府は、北西太平洋における別表]に掲げる生物資源の保存、合理的利用及び管理のため、特に、対象生物資源のロシア連邦からの輸出であってロシア連邦の法令に違反して行われるものを予防し、及び抑止することを通じて協力する。

第三条

ロシア連邦の権限のある当局は、この協定の実施のため、ロシア連邦の法令に従い、対象生物資源の漁獲の取締りに関する実効的な措置をとる。この措置には、特に次のことを含む。
(a)生物資源の保存に関する取締りのため、ロシア連邦の法令に定める必要な人員、手段及び資源を投入すること。
(b)船舶の名称(登録文書に記載されているもの)、種類、登録番号、国際海事機関船舶識別番号、国際無線通信呼出符号及び所有者その他の船舶の識別のために必要な情報並びに乗組員名簿に関する情報への権限のある当局によるアクセスを保証すること。
(c)船舶の位置並びに船舶内にある生物資源及びその加工品の量に関する情報を恒常的かつ自動的に送信する管理装置が漁業及び海洋資源の調査を行うロシア船舶に搭載されることを確保すること。
(d)漁業を行う者及び生物資源のロシア連邦から目本国への輸出を行う者による生物資源の違法な漁業、報告されていない漁業及び規制されていない漁業並びに違法な輸出への関与に関する情報を日本国の権限のある当局に提供すること。

第四条

1 証明書の発給の権限を与えられたロシア連邦の権限のある当局は、輸出者による封象生物資源の日本国への輸出に際しては、当該輸出者によって行われる書面による申請に基づき、自国の法令に定める手続に従い、当該輸出者に対して証明書を発給する。

2 ロシア連邦の権限のある当局は、1の規定に従って証明書を発給した後速やかに、第六条1に規定する運用上の手続規則に定める手続に従い、当該証明書の写しその他の関係する情報を日本国の権限のある当局に提供する。

3 証明書の発給の権限を与えられたロシア連邦の権限のある当局は、次のことを行う。
(a)第七条に規定する委員会(以下「委員会」という。)の最初の会合において、証明書に用いる印章の図案を提出すること。
(b)外交上の経路を通じ、日本国の権限のある当局に対し証明書に用いる印章の印影を提供すること。
(c)使用する印章を変更する必要がある場合には、新たな印章の図案を委員会に提出すること。
(d)委員会において新たに印章の図案が合意される場合には、外交上の経路を通じ、日本国の権限のある当局に対し速やかに新たな印章の印影を提供すること。

4 ロシア連邦の権限のある当局は、この協定の目的を達成するため、自国の法令の範囲内で次の措置をとる。
(a)仕向地が日本国であるか否かを問わず、漁獲された対象生物資源がロシア連邦の法令による輸出の手続によらずにロシア連邦から持ち出されることの予防及び抑止
(b)証明書の偽造の防止
(c)ロシア連邦の法令による手続に従って行われる対象生物資源の日本国への輸出の促進

第五条

1 日本国の権限のある当局は、輸入者が対象生物資源を貝本国に輸入するに当たり、次のいずれかの揚合に該当すると認めるときは、日本国の法令に従いその輸入を認めない。
(a)当該輸入者が証明書の原本を提出しない場合
(b)当該輸入者が提出する証明書の原本が次条3に規定する様式に従ったものであることを確認することができない場合又は当該証明書の原本に別表二に掲げる全ての事項が記載されていない場合
(c)当該輸入者が提出する証明書の原本が証明書の発給の権限を与えられたロシア連邦の権限のある当局によって発給されたものでない場合(委員会において合意された図案の印章と異なる印章が使用されている場合を含む。)

2 目本国の権限のある当局は、輸入者による対象生物資源の目本国への輸入に際して受理した全ての証明書の写しをロシア連邦の権限のある当局に対して提供するための措置をとる。

第六条

1 両国の権限のある当局による第四条及び前条の規定に基づく任務の遂行のため、運用上の手続規則を定める。当該運用上の手続規則は、この協定の効力発生の日に、委員会により採択される。

2 両国の権限のある当局は、それぞれの国内法令の範囲内で、運用上の手続規則に従って措置をとる。

3 運用上の手続規則は、証明書の様式を定める。

4 証明書には、別表二に掲げる全ての事項を必ず記載しなければならない。

5 証明書は、ロシア語及び英語で作成する。日本国の権限のある当局は、前条の規定に基づく任務を遂行する際には、英語で記載された内容に依拠する。ロシア語及び英語の記載内容に相違がある場合は、目本国の権限のある当局は、英語で記載された内容に依拠する。

6 発給された証明書は、発給された日の後三箇月を超えない期間に行われる対象生物資源の一回の輸入についてのみ有効なものとする。

第七条

1 両政府は、この協定の目的を達成するため、それぞれの代表者で構成される委員会を設置する。委員会は、必要に応じ、両政府が合意する時期及び場所において会合する。

2 委員会は、次のことを任務とする。
(a)この協定の実施及び運用について監視し、及び監督し、並びに必要な場合には、両政府に対して適切な勧告を行うこと。この勧告には、この協定の改正に関するものを含めることができる。
(b)対象生物資源の保存及び管理に関する情報の交換を行い、並びに必要な場合には、この協定の目的を達成するため、両政府に対して適切な勧告を行うこと。
(c)最初の会合において前条に規定する運用上の手続規則の採択を行うこと。
(d)運用上の手続規則の解釈及び実施について協議し、並びに必要に応じ、運用上の手続規則の改定を行うこと。
(e)最初の会合において第四条3に規定する印章の図案について合意し、及び必要に応じ、その後の会合において、当該印章の図案の変更について合意すること。
(f)の協定に関係する両国の国内法令に関する情報を交換すること。
(g)その他のこの協定に関連する事項について討議すること。

3 委員会の最初の会合は、この協定の効力発生の日に開催する。

第八条

1 両政府は、この協定の解釈及び運用について両政府問に紛争が生じた場合には、協議の実施を通じて、当該紛争を解決する。

2 1に規定する協議は、いずれか一方の政府の要請に基づき、速やかに実施する。

第九条

この協定、この協定に従って行われる活動及びこの協定の実施のための措置並びにこれらに関連するいかなる活動及び措置も、相互の関係における諸問題についてのいずれの政府の立場又は見解をも害するものとみなしてはならない。

第十条

1 この協定は、両政府問の合意により改正することができる。

2 この協定は、外交上の経路を通じて、その効力発生のために必要なそれぞれの国内法上の手続が完了した旨を相互に通告する書簡を両政府が交換した日の後三十日目の日に効力を生ずる。

3 いずれの一方の政府も、外交上の経路を通じて、他方の政府に書面による通告を行うことにより、いつでもこの協定を終了させることができる。この協定は、このような通告の日の後六箇月目の日に終了する。

以上の証拠として、下名は、各自の政府から正当に委任を受けてこの協定に署名した。
二千十二年九月八日にウラジオストクで、ひとしく正文である日本語及びロシア語により本書二通を作成した。

日本国政府のために ロシア連邦政府のために