ロシア漁業情報

2015/3/18
号外 TAC設定を注視 オ海ズワイで道機船連 ロシア側増枠の動きを受け

2015年03月18日 
日刊水産経済新聞
[TAC設定を注視 オ海ズワイで道機船連 ロシア側増枠の動きを受け]
【札幌】ロシアの試験研究機関・チンロセンターはこのほど、オホーツク海・東サハリン海域のズワイガニ資源の回復傾向を指摘し、2015年TACの期中見直し(増枠)を提案した。この動きを受け、北海道機船連は16日、同資源とのまたがり資源であるオホーツク海海域のズワイガニについて、平成27年漁期(27年7月-28年6月)の「(わが国の)、TAC設定の過程を注視している」とのコメントを発表した。道機船連では、オ海のズワイガニTACは違法漁具の敷設を背景とした漁獲減に伴い、「『漁獲なきTACは削減すべき』との論拠に乏しい意見に引きずられ」、減枠されてきたと指摘しており、科学的根拠に基づいたTAC設定を要請した形である。道機船連によると、道内沖底船は歴史的にオ海のズワイガニ資源を利用してきたが、十数年前からロシア乗組員の便宜置籍船(FOC船)によるとみられる違法漁具増加の影響で、漁場が利用できない状況となった。TACも未消化となる中、25年度のTACは前年の半分以下の375トン(大臣管理分)に大幅削減、26年度も同量の設定となっている。一方、チンロセンターは東サハリン海域の南東部のズワイガニ資源は2010年から回復傾向にあると分析。TACは13年450トン、14年520トン、15年1070トンと増枠されてきたが、先ごろさらに、14年の調査に基づき、15年TACを1400トンに期中見直しする提案を行ったところだ。道機船連では今回のこうしたロシア側の増枠提案の動きを挙げつつ、科学的根拠に基づいた「漁業者の納得のいくTAC設定を」と要請、さらにそれを前提とした「漁場価値の回復を期待したい」(原口聖二常務)としている。平成27年漁期のズワイガニTACは、例年のスケジュールだと4月の関係者意見交換会、パブリックコメントを経て、5月の水産政策審議会の答申を受け決定されることになっている。