ロシア漁業情報

2015/3/23
ロシア漁業ニュースヘッドライン2015/04

2015年04月10日
ユーザー  各位
                                                                
拝啓 時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、2015年3月11日、ロシア農業副大臣(漁業庁長官)シェスタコフは、モスクワで記者会見を行い、2016年からの流し網漁業禁止にかかる法案を支持すると語り、日本が同法案について自国漁船も対象となる可能性があることに懸念を示しているとの質問に対して、もし、この法案が通れば、ロシア漁船ばかりでなく日本漁船にも適用されることになる旨を指摘しました。また、この規制の変更は経済面と環境面の問題を改善することになると語り、法案の採決の見通しについてはわからないが、ロシア農業省と漁業庁がその法案を支持する立場であることは言えると言及する一方で、ただし、判断は政府、そして上院と下院の責任によるものだと加えました。
既報のとおり、この法案問題は、極東の2つの主導的漁業地域の闘争を招いています。カムチャツカ地方の漁業者が2008年以来、環境問題を前面にだし、当該漁業の禁止を主張し続けている一方で、サハリン州の漁業者は科学的根拠に乏しいこと等を理由に、これに強く反対しています。カムチャツカ地方における漁獲は沿岸漁業(定置網)であり、同地方の漁業者は、サハリン州漁業会社を中核とする沖獲り漁業(流し網)を合法的な漁獲物の横取りだとしています。しかし、この問題は、ロシア国内外市場で大きな需要があるベニザケの市場競合という側面をもっており、カムチャツカ地方の主張の背景に、市場評価の高い、流し網漁業による“沖獲り製品”を排除し、その空白への供給者となることを目的とした思惑があると推察されるところです。
日本とソ連時代からの伝統的漁業協力である日本漁船によるロシア排他的経済水域における当該操業にも大きな影響を与える可能性のあるこの関連情報を、引き続き、今月号のTopNews としてご報告申し上げます。
なお、加えて、2015年3月5日、ロシア極東連邦管区大統領全権代表トルトネフは、数日間にわたったカムチャツカ訪問を終えるにあたり、地元通信社のインタァヴューを受け、この中で、再び、流し網漁業禁止に賛成すると表明しました。この情報もあわせてお知らせ申し上げます。
敬具
(国際漁業対策事業部;原口聖二)

Contents

TopNews  シェスタコフが記者会見 流し網漁業禁止法案は妥当
・流し網漁業禁止法案の意図するところは日本漁船 サ州議会議長(太平洋サケマス流し網漁業関連外5件)
・第24回ロ中漁業委員会が行われる(ロシア農業副大臣動向/2ケ国間漁業協定関連等外4件)
・密漁を繰り返したFOC船が軍事検察の起訴で没収判決を受ける(FOC/IUU取締情報関連外7件)
・ロシア漁業者によるオホーツク海抱卵スケトウダラ操業概況(ロシア漁業者底魚等操業関連外10件)
・オホーツク海北部における無脊椎動物資源漁獲状況(ロシア漁業者無脊椎動物資源操業関連外4件)
・スケトウダラ業界のヨーロッパ市場拡大のため補助金を準備(その他ロシア漁業関連情報外10件)
・旧正月 輸入水産物が売り場を占める(韓国スケトウダラ等市場関連外2件)
・金正恩が遠洋水産事業所の建設現場を現地視察(北朝鮮漁業関連外2件)
計53報告
http://kisenren.com