ロシア漁業情報

2016/8/29
ロシア漁業ニュースヘッドライン 2016/09

2016年09月10日
ユーザー  各位
                                                                
拝啓 時下ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。日頃は格別のお引き立てを賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、2016年6月下旬、ロシア排他的経済水域において禁止されている流し網漁具を使用した疑いで、サハリン州根拠とカムチャツカ地方根拠の7隻のロシア漁船が、ロシアFSB東部北極地域(カムチャツカ)国境警備局に拘束される事件が発生しました。これらのロシア漁船が操業していた海域は東カムチャツカ沖合で、以前使用していた流し網に、わずかなデザインの変更を施し、実質、流し網で違法に太平洋サケマスを漁獲、操業のアドヴァイザーの役割を担う3名の日本人が乗船していたとされています。この事件について、定置網漁業の勢力が強く、流し網漁業に反対してきたカムチャツカ地方の水産分野を専門とするフリーランスのジャーナリストは、日本の企業が操業を実質管理していることや、その内の一社の活動を指摘して、関与している可能性がある旨をリポートしました。
 しかし、情報によると指摘された日本の一社も、今回、先方ロシア企業と水産物の取引は行っているものの、実際にはこの日本人の乗船への関与はなく、資本の関係もないとされています。既報のとおり、拘束されたこれらの漁業者は、使用した漁具が、ロシア漁業庁傘下の水産研究機関により開発された流し網の代替となる表層カゴ網であり、合法的なものだと主張した経緯にあります。また、これらのロシア漁船の操業開始は6月1日で、漁場に入域とほぼ同時に現場でロシア当局による漁具検査を受け、その了承のもと操業が行われていました。更に操業開始以来、3週間以上にわたり、オブザーバ乗船のもと、大きな指摘事項もなく操業は継続され、拘束されたのは、各船が一定数量の製品を積み終えた時点とされています。今回の事件に巻き込まれない一部の貴重な沖獲製品は、日本企業とロシア企業の正常な取引関係により正規の貿易手続きをとり、仲積船により、日本の港へ供給されました。
 今回の事件の拘束期間は長く、これにより今漁期のサケマス沖獲の機会は実質的に奪われました。事件は今後、正規のサケマス沖獲を求める業界にとって疑問が残る経過をたどっています。この問題を今月号のTopNewsとしてご報告申し上げます。
なお、ロシア漁業は、商業漁業に十分な資源量に達しているとの評価から、およそ25年ぶりにイワシ・サバ漁業を復活させました。この情報についてもあわせてお知らせ申し上げます。
敬具
(国際漁業対策事業部;原口聖二)

Contents
TopNews  サケマス沖獲ロシア漁船拘束事件 日本企業の関与は正常な取引関係
・疑問の残る流し網代替漁法サケマス沖獲ロシア漁船拘束事件
・イワシ・サバ操業会議を開催(ロシア イワシ・サバ操業等件関連外9件)
・中国へのカニ販売を規制 中国と合意(ロシア漁業政策および2ケ国間漁業協定関連等外8件)
・ロシア漁業者による今漁期漁獲量が約290万トンとなる(ロシア漁業者底魚等操業関連外6件)
・2016年漁期第10回定例サケマス操業会議を開催(ロシア太平洋サケマス操業関連外14件)
・サハリンと日本の企業がサンマ漁期中の利的協力(ロシア太平洋サンマ操業関連外3件)
・サハリン国境警備局がカニ違法所持タンザニアFOC船を摘発(FOC/IUU取締情報関連外3件)
・養殖漁業のための補助金が約3億5,000万ルーブルに達する(その他ロシア漁業関連情報外4件)
・北朝鮮  中国に東海NLLの漁業権も販売(韓国スケトウダラ等市場関連等外4件)
計61報告
http://kisenren.com